昨日、食品メーカーさんの代表者様と打ち合わせ。
手書きをしている納品書 受領書をエクセルにして省力化が図れるように、とのご要望です。
手書きとエクセルが混在
ざっくり言えば、登場する書類は以下のようになっています。
・エクセルの納品台帳 →一か月分の手書きの納品書を打ち込む
・エクセルの請求書 →エクセルの納品台帳からコピペしていく
ポイントは、手書きの納品書(コクヨなどホームセンターの文房具コーナーで売っているもの)と受領書を納品ごとに発行していることと、それとは別に納品台帳を作っているとのことです。
つまり、4書類が手書きとエクセルで混在している状態です。
省力化の動線を見れば、手書きの納品書が不要で、納品台帳と納品書と受領書を連動して自動化すれば、それだけで手数がものすごく減ります。これに請求書も連動させれば、飛躍的に省力化が図れることになります。
納品書と受領書はタイトルが異なるだけで同じもの
取引先は個人客ではなく法人客や店舗であるため、納品書を毎回納品ごとにお渡ししなくても、と思ったのですが、お客様によると、慣習的にそうしてきたので続けていきたいというご要望です。
受領書にはサインをいただくとのことですので、そうすると、どちらにせよ毎回の納品書も必要になります。受領書と納品書は中身は同じで、タイトルが異なり、サイン欄があるかないかの違いだけだからです。
2種類のエクセルのテンプレート
であれば、毎回の納品書・受領書をエクセルのテンプレートで作成し、それとは別に、やはりエクセルのテンプレートを用いた納品台帳に毎回の納品書の内容をコピペしておく。そして、納品台帳と請求書を連動させて自動転記する、という2種類のテンプレートを用いた形がお客様にとって最も便利であると判断しました。
これらのテンプレートは、1週間もいただければ作成が可能です。
習慣という課題
動線が非常に明確で、省力化がなされる良い仕組みですが、本件には一つ、課題がありました。
それは、お客様の習慣です。
これまで、納品書も受領書も請求書も手書きをして(カーボンコピー)、月末にそれをエクセルに打ち直すという行為を行っていたため、発注をいただいてすぐにエクセルのテンプレートに入力し、それをプリントアウトする、という行為に、なんとなく「慣れない感じ」を覚えていらっしゃるとのことでした。
「いや、そんなのどう考えてもエクセルのほうが便利で速いでしょ」
と思われるかもしれませんが、案外、この習慣というものは、スルーできない大事な要素なんです。
納品書や受領書、請求書の作成に関わらず、どのようなことでもそうなのですが、社内で慣れ親しんだやり方が変わるのは、心的不安感が伴います。効率化を求めて既存の方法をひっくり返すというのは、長い目でみれば効率化ができて良いのかもしれませんが、しかし、当面は、確実に戸惑います。
時間だけが効率化のターゲットではない
最近はとかく効率化、効率化と見聞きしますが、効率が良い悪いという意味での効率は「その仕事量とそれを為すためのコストとの比率」と定義されます。
で、このコストには、時間的コストもあれば、肉体的コスト(体を使う)もあり、知力的コスト(頭を使う)もあり、また、精神的コスト(心を使う)もあります。
このうち、習慣からの逸脱による戸惑いで、知力的コストと精神的コストを、今までよりも消費することになり、それは効率化の妨げになる、と言えばおおげさですが、効率化を鈍化させる要因になります。
時間だけが効率化のターゲットではないのですね。
習慣を変えるためにマイナーチェンジを
ともあれ、習慣は変えることができますので、長期的には手書きよりもエクセルのテンプレートを用いたほうが効率化が図れることは自明です。
一気に変えますと、一定期間、知力的コストと精神的コストが大きくなってしまいますので、今までの方法をガラッと180度変えるということはせず、少し変える、または既存の方法を少し残し、マイナーチェンジを何回か行うことで、習慣を変えていくことができます。